現在、表示パネル部品の表面処理層へのレーザー剥離加工は、2次元形状
では実績がありますが、3次元形状では変換ソフトの未確立や、照射角度
による光屈折等の問題があり、実用化されていません。
そのために部品コスト削減と意匠性を高めることができる3次元レーザー
加工方法の確立が課題となっています。そこでステージ移動機能付き
3次元レーザー加工装置の試作開発を行い、低価格で意匠性を高めた
3次元形状の表示パネルの生産装置の開発に成功しました。
表面処理層へのレーザー剥離加工の3次元形状対応は、次の問題があります。
① レーザーの照射角度が対象物に対して鈍角になると、レーザー照射位置だけでなく周辺部分も剥離してしまう。
② 照射角度が鈍角になるにつれて、レーザー照射位置の精度が悪くなる。
これらの問題は、レーザー照射角が常に一定範囲内に入るようにすることで、解決が可能となります。
通常レーザー加工の位置決めはレーザー発射角と照射距離をレーザー発信機側のみで制御しますが、
本開発では被加工物を載せるステージをX,Y,Z方向に移動させ、照射角を常に一定に保つことで、
問題を解決しました。(図1)
ですが、新たな問題が発生しました。
加工物が大きいと、広いステージが必要になることと、 加工部の
角度に制限が付いてしまうことです。 これらの対処として、
ステージにR軸を追加し、移動範囲を少なくすることで、 広い
範囲の照射角制御を可能としました。(図2)
この開発したレーザー加工装置は、従来のレーザー剥離加工が
困難であった複雑な3次元曲面を持つ形状の部品にも適用する
ことができるほか、従来の製造方法では実現できなかった
意匠性の高い微細なデザインが加工できるようになります。
価格競争力を備え、機能的差別化が図れる部品が製造でき、
不良率の低下と製造コストの削減が見込まれます。
上記のような高度な意匠性を持つ3次元形状の表示パネルが制作可能になったほか、加工時間が最大約30%減少しました。これにより、
より製造コストを抑えた表示パネルの製作が可能になります。